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2022.01.07

私たちは70歳まで働かねばならないのか!?

採用・雇用

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私たちは70歳まで働かねばならないのか!?

 令和3年4月の改正高年齢者雇用安定法(以下、「改正法」)のニュースに対し、「70歳まで働かなければいけないのか」「身体が動かなくなったらきつい」などの反応がありました。みなさん、この「70歳定年」という言葉に反応しているようです。

実際の法律は「企業は従業員が70歳まで働けるように門戸を開きなさい」という構成になっていて、「70歳まで働かなければならない」という意味はありません。従業員は自分で「働く自由」と「働かない自由」を選択できるようになっているのです。

ここではその疑問について解説をします。詳細は、奉行EXPRESS 2022年冬号をご覧ください。

【継続雇用制度の導入】
 定年は60歳を下回ってはいけません。さらに、労働者が希望すれば65歳まで雇用することは会社の義務となります。そして会社は ①定年の廃止 ②定年の引上げ ③継続雇用制度の導入 のいずれかの措置を講じなければなりません。

 継続雇用制度とは、現在雇用している高年齢者が希望すれば、定年後も引き続き雇用する再雇用の制度です。もし定年を60歳としており、本人が定年後も雇用を希望している場合において、継続雇用制度なしで「定年は60歳」という理由だけで退職させた場合は法令違反となります。雇用における就業関係の実態が成立していれば、事務手続き上の定年退職日からの数日程度の空白については問題ありません。


【対象者について】
 改正法では、会社は従業員が希望すれば、その全員を65歳まで雇用することが義務付けられています。したがって、会社が一方的に60歳で定年と決め、対象外とすることは認められていません。

 また、有期契約労働者は対象になるのでしょうか。有期雇用契約は、契約終了日を事前に決めておくものであり、一定期間で契約が終了するものです。したがって、65歳未満で契約終了日を迎えるとしても、違反にはなりません。ただし、契約終了日前に定年を優先して用いることは違反です。


【労働条件・職場環境について】
 高年齢者雇用安定法は雇用継続のためのものであるため、今までの労働条件を嘱託やパートなどに変更することは可能です。ただし、雇用継続を難しくさせるような、著しい条件の悪化を強いることはできません。

 会社が60歳以降も継続雇用制度を導入したうえで、労働条件の合意が出来ずに労働者が自由意思によって辞めるのは通常の退職となり、会社として責任はありません。ただし、労働条件・職場環境に関するルール、就業規則などの一律の枠内での条件提示をするか、合理的に算定した条件の提示をする場合に限ります。その人だけ特別に著しく低い条件を提示して、本人がそれを拒絶した場合には、違反になる可能性があります。
 また、65歳以上に関しては個別条件が付いていても、努力義務であるため問題ありません。

 ところで定年後の就労形態を、週3勤務で概ね2人で1人分の業務を行なうようなワークシェアリングとするのはよいのでしょうか。
 これは継続雇用をしているため、問題ないと言えます。しかし、労働者側がこの条件では期待する収入が得られないため、著しい労働条件の低下と読み取る可能性もあります。この場合には、定年を理由に辞めさせるために設定された低い労働条件だという見方もできるため、注意が必要です。


【雇用契約の更新について】
 条件等の見直しのための1年ごとの雇用契約の更新は可能です。しかし、契約更新によって65歳以下での会社からの雇用打ち切りはできません。

 例えば、55歳の時点で①55歳以降の労働条件を変更し、65歳まで継続して働き続ける、②今までと同じ労働条件で60歳の定年退職、のいずれかを労働者本人が選択するというような制度の導入は問題ないのでしょうか。
 本人が自由に65歳までの雇用を選択できるという面から見ると、この制度導入はありです。企業側からすれば、人員計画を早い段階で立てることが出来ます。しかし、労働者側からすれば、定年の5年以上前から働き方を考えなければならなくなります。さらに、②を選択していた人が60歳以降も働きたいと心変わりした際は、これに応じなければ法令違反になる恐れがあります。定年の5年以上前に選択するのは時期尚早と思われます。


【まとめ】
何歳まで働くかは本人の自由です。70歳まで働かなければならないという雰囲気が生まれるかもしれませんが、「好きな仕事がしたい」「もう働かない」という選択を尊重することが必要です。