今や日本は大廃業時代が到来している。
全国380万社の中小企業のうち5万社が消滅。
それもそのはず、
中小企業経営者の6割以上が60歳以上で、引退へと駒を進めていこうとしている。
引退を決めた経営者はそこで終わりかというとそうではない。
廃業を決めた経営者にも、その後の人生が続いていく…
そんな会社の終焉を、税理士がその持てる専門性を活かし「円満」へ導くことができたのなら…
廃業にかかる税理士業務の流れからみていきたい。
(ここで扱うのは、経営が健全な状態での会社のたたみかたになります)
《会社 企業から廃業までの流れ》
起業:会社設立→営業活動→解散→清算手続→清算決了→廃業:会社消滅
《税理士業務の流れ》
1.会社解散の提出
廃業しますという「解散」を受け、法務局への登記・廃業の旨を官報公告・税金関係では税務署へ届け出
2.解散確定申告
最終事業年度開始の日から解散日までの確定申告(解散確定申告)を2か月以内に行う
3.清算事業年度の手続き
資産を整理し、すべての支払いを済ませ、株主へ現金で払い戻すなど、数年に一度しかやらないような活動が一気に押し寄せてくる
・資産の処分
・負債の支払い
・退職金の支払い
・資本の払い戻し
・清算確定申告
・届出書の提出
・廃業後の責任
ここまで見てくると、
ひとことに「廃業する」といっても準備することや手続きがたくさんあることが分かる。
実際には経営者がやるべきことは上記以外にも「家族や従業員への説明」といった重要な仕事もあるし、
引退後の身の振り方も準備しておく必要もある。
よって、廃業した経営者からは「時間が足りなかった」と聞こえてくるのが現状だ。
経営者が廃業をするときの相談相手は家族や親族などの近い関係先が中心となるが、
公認会計士や税理士という外部の専門家に頼るのもいいだろう。
税理士にとっても、廃業の声を拾い上げ、行動を促すことも今後求められてくる仕事なのかもしれない。
これから廃業のニーズは増えていくと思われるが、
司法書士や弁護士、M&Aコンサルタントとも協力しながら「円満」へ導いていきたい。
「廃業」というキーワードを聞くと、いささか暗い気持ちになる。
ここまで理想を掲げて頑張ってきた人がその幕を閉じることには哀愁すら感じる。
しかし、廃業後もその人には人生が続く…
これから会社に再雇用されたり、ボランティア活動で地域貢献に励む、趣味を楽しむ、など
世界は広がっている。
税理士業務として手続きを淡々と進める一方で新しい人生を応援するというところから関わっていくと、
また違った世界が広がっている。
会社をたたむ決意をした経営者の、その周りの人たちの、
その後の人生が輝きますように。