1.SMARTの法則を用いる
2.経理は前年同月と数値比較が有効
3.こころが折れにくいポイントは「1.2倍」
《1. SMARTの法則を用いる》
営業部門は売上高や契約件数などの数字があるため
明確に目標を定めやすいです。
それに比べて経理などの管理部門は数値化が難しく、独自の工夫が必要になります。
たとえば効果的な目標設定のフレームワークのひとつに「SAMARTの法則」というものがあります。
これは便利でシンプルな考え方なので、私は経理の目標設定にも有用だと考えます。
こちらの「SMART」は目標設定の際に注意するべきポイントの頭文字をとったもの。
この5つのポイントを満たすことで目標設定に向けた行動がとれるというものになります。
SMARTの法則:着手の順番
R→SMT→A
経理部門で目標設定を募っていくと、
「作業マニュアルをつくる」「勉強会を開催する」といったものをよく目にします。
これらは時間を必要とし周囲を巻き込むことから高い目標設定であるかもしれませんが、
やらなかったからといって会社全体に影響が及ぶことはあまりありません。
「会社全体で多くの人の作業につながるものを優先」
して設定していけば会社全体にも貢献できて、個人としての成果にもつながります。
例えば「経理部門の業務効率アップで表彰される」「チームの残業が減り、繁忙期でも趣味の時間、自分の時間をもてるようにする」
などが考えられます。
《2. 経理は前年同月と数値比較が有効》
目標設定の中で優先して考えた「R」は理想です。
この状態には、複数の要素が満たされないと到達しません。
そこで理想を実現するための設計図がSMTです。
「S(具体性)」は
いわば計画の工程表にあたるもので具体的な行動をさします。
例えば「月末の振込処理を手作業からCSVインポートに切り替える」とか、
「各部門には経費報告締切日の1週間前に各担当へアラートを流す」
などが挙げられます。
「M(計量性)」は、
目標達成に近づくための数値化による目標設定です。
前述したとおり、
経理を中心とした間接部門には明確な数字がありません。
この場合、目標として定めやすいのが前年同月の実績との比較になります。
経理部門は、その会社独自の流れはありつつも
毎年同時期に同じような業務が発生します。
そのため、「月次決算資料の作成日数を前年比で〇日短縮する」「前年同月の総労働時間を〇%アップする」
などが考えられます。
「T(期限)」は
締切日です。
いつか達成すればいいという曖昧な目標では人は行動しません。
何月まで、四半期・年度ごとなどの設定が有効です。
《3. こころが折れにくいポイントは「1.2倍」》
最後は「A(達成可能性)」チェックです。
実現しやすい目標を立てるには、現時点の能力値の1.2倍が良いというのが通説です。
人は目標値が高すぎると諦めてしまい、
逆に、簡単に達成できそうな目標は何の価値もうみません。
程よいところが良いのです。
この「程よいところ」は人によって様々なので、
ポイントは自分自身ができるかできないかギリギリ手が届きそうなところを設定することです。
多くの人は、自分だけで考えると汎用な目標になりがちです。
上司や信頼できる人にコーチングしてもらうと良いかもしれません。
経理部門は、スポーツのように分かりやすく明確な目標を設定することは難しいかもしれません。
しかし「よくわからない」とか「時間がない」と言って目標設定に時間を割かなければ具体的な成果や自己成長もなく、
なんとなく忙しいという気分だけで終わってしまいます。
明確な目標設定をして自身の行動をクリアにし、充実した経理ライフを送りましょう。