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2026.03.11

地域未来投資促進税制が延長・拡充 「建物投資」で会社を一歩前へ進めるチャンス?

マネーリテラシー

税金のお話

地域未来投資促進税制が延長・拡充 「建物投資」で会社を一歩前へ進めるチャンス?

「工場を建て替えたい」「新しい拠点をつくりたい」そう思っても、
気になるのはやはり税金とお金の問題です。

特に地方の中堅・中小企業では、
「投資したいけど、資金や税負担が心配で踏み出せない」という声が少なくありません。

そんな企業を後押しするのが「地域未来投資促進税制」です。

この制度は、「税」「地方税」「金融支援」をまとめて受けられる仕組みです。

特に注目すべきは、機械だけでなく「建物」も税制優遇の対象になること。
これは意外と知られていないポイントで、「知っているかどうか」で大きな差が出る制度です。

1.企業にとっての3つのメリット

① 建物や構築物も税制優遇の対象に
この制度では、機械設備だけでなく下記も優遇の対象になります。

・工場や事務所などの建物

・建物に附属する設備

・構築物(駐車場や外構など)

また、建物の場合、建物等については、取得価額の一定割合
(例:特別償却20%または税額控除2%)を優遇できる仕組みです。

古い工場の建て替えや新拠点の整備といった大きな投資でも、
法人税の負担を軽くできるため、中小企業にとって大きな決断を後押ししてくれる制度といえます。



② 固定資産税・不動産取得税も軽くなる
建物投資は「建てた後の税金が重い」というイメージがあります。

しかしこの関連制度により、

・不動産取得税の軽減

・固定資産税の減額や免除

が受けられる場合があります。

つまり、建てるときだけでなく、その後の税負担も軽くなる可能性があるのです。

③ お金を借りやすくなる
この制度の手続きを進めることで、

・日本政策金融公庫の低金利融資

・県や市と連携した制度融資

を利用できるケースがあります。その結果、長期・低金利で資金調達できる可能性が高まります。
税金面だけでなく、「資金面」でもメリットがあるのが大きな特徴です。

2.なぜここまで優遇されるのか?

これほど手厚い支援が用意されている背景にあるのは「地域活性化」という国の大きなテーマです。

人口減少や高齢化が進む中で、地域に雇用と所得を生み出す企業や「稼ぐ事業」がなければ、
地域そのものが弱ってしまいインフラ維持すら難しくなってしまうからです。

そこで2017年7月(平成29年)にできたのが「地域未来投資促進法」です。

地域の強み(伝統工芸、観光資源、製造業の集積など)を活かして、
地域経済を引っ張る事業を「地域経済牽引事業」として支援する仕組みです。

特に、地方の製造業とは相性の良い制度といえます。



出典元:経済産業省YOU TUBE
https://youtu.be/ZsQpUsmSWmc?si=y02IKW2Whzgeoaav
地域経済牽引事業計画の承認(業種別 10:37、地域別 12:45)

3.実例イメージ:伝統産業の強化

具体的なイメージとして、福井県越前市の「越前打刃物」の取り組みを見てみましょう。

700年の歴史を持つ伝統産業ですが、海外からの需要が増え、生産が追いつかないという課題がありました。

そこで、生産能力の増強とブランド発信拠点を兼ねた拠点にするため、次のような投資が行われました。

・古い工場を建て替え

・見学ができるショールーム一体型を併設

・観光客が見学できる動線を整備

その結果、

・生産量アップ

・ブランド力向上

・観光客増加

・地元雇用の創出



出典:経済産業省 活用事例
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/shokibo/ninteikeikaku/download/18-05.pdf
YOU TUBE:https://youtu.be/kahWwkcH-HM?si=4eVxM3OxYTiT0qpE

このような投資によって、生産量が増えただけでなく、
観光客が増えて知名度も高まり、地元の若い人の働く場も生まれました。

このタイプの案件は、「伝統産業の高度化」「観光・交流人口の拡大」「地域雇用の確保」
といった政策目的と親和性が高く、地域未来投資促進税制や地方税の軽減、
金融支援を組み合わせやすい代表例です。

4.令和7年度税制改正のポイント

令和7年度の税制改正で、地域未来投資促進税制は3年間延長されました。
2025年4月1日から2028年3月31日までに使い始めた設備が対象になります。

建物やその設備などは、これまでと同じく、特別償却20%または税額控除2%が基本です。

建物への投資も対象になる点が大きなポイントです。

さらに、10億円以上の大きな設備投資では、
特別償却50%または税額控除5%といった、より手厚い優遇も用意されています。



出典:地域未来投資促進税制の拡充及び延長 P.6
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2025/pdf/03.pdf

5.実務で気をつけたいポイント!スケジュール管理がカギ

最後に、経理担当者の視点から押さえておきたい実務ポイントです。

①承認前に買ってしまうと使えない

最大の注意点はこれです。
事業計画の承認を受ける前に設備を買ってしまうと、制度が使えません。

どんなに内容が良くても、手続きの順番を間違えると対象外になります。

申請から承認まで2か月以上かかることもあるため、
投資計画の初期段階から、スケジュールを逆算して準備することがとても重要です。

②建物は地域未来投資促進税制、機械は中小企業経営強化税制で使い分ける

機械や備品については、「中小企業経営強化税制」を使ったほうが有利になることもあります。

この制度では、条件を満たせば全額をその年に経費にできる
即時償却(全額一括償却)のほか、税額控除10%といった手厚い優遇があります。

単純に税額控除率だけを比較すると、地域未来投資促進税制の2倍以上となるケースもあります。

そのため建物は地域未来投資促進税制、機械や備品は中小企業経営強化税制といったように、
うまく使い分けることを意識するとよいでしょう。

【まとめ】建物投資を後押しする心強い制度

この制度は、建物を含む大きな投資を
「税金」「地方税」「資金調達」の面からまとめて支えてくれる仕組みです。

地域を元気にする流れの中で、自社の中期的な投資計画にどう活かせるか。

今こそ、経理や経営企画の立場からしっかり確認しておきたいテーマといえるでしょう。