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2025.12.01

【2025年改正】中小企業のための「経営強化税制」延長と見直しポイント

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【2025年改正】中小企業のための「経営強化税制」延長と見直しポイント

設備投資の応援制度が延長!今後は“成長戦略”とセットで考える

2025年の税制改正では、中小企業が設備投資をしやすくなる「中小企業経営強化税制」が、
2027年3月末まで延長されました。

これまでのように「とりあえず減税になるから使う」というものから、
これからは「将来どう会社を成長させたいか」という視点とセットで考えることが求められています。
ここでは改正のポイントと実務で意識すべき点を整理してお伝えしていきます。

政府の想い「中小企業が元気になれば、日本全体も元気になる」

この制度の背景には、「中小企業がもっと強くならなければ、日本経済は良くならない」という政府の考えがあります。

昔のように「どの会社でも減税OK」ではなく、まずは利益をしっかり出せる会社に育ってほしいという方向に変わってきました。

また、「給料をもっと上げてほしい」という社会全体からの声も強くなっています。

今年はコメの価格高騰もありましたが、物価高に対応するための収入対策は待ったなしの課題です。

さらに、国が推進する「年商100億円を目指す企業(=100億企業)」に挑戦する中小企業には、
減税だけでなく補助金も受けられるチャンスが広がります。


「100億宣言」の公式ロゴマーク 年商100億円を目指す企業に使用を認めるロゴマーク
出典元:https://growth-100-oku.smrj.go.jp/ (経済産業省HP、ロゴマークの使用許諾あり)



出典:https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2025/pdf/03.pdf 
経済産業省 令和7年度税制改正について

中小企業経営強化税制ってどんな制度?

この制度は、一定の要件にあてはまる設備を購入する企業に対して、「税金を減らす優遇」を受けられる制度です。

たとえば、

・設備の費用を前倒しで経費として計上できる「特別償却」
・法人税そのものを減らせる「税額控除」

などの仕組みがあり、条件に合えば税金の負担が大きく減る可能性があります。

この制度は期限つきですが、今回の改正で2027年3月末まで延長され、あわてて投資を決める必要がなくなりました。
時間をかけて銀行などと相談しながら、計画的に進めることができます。

類型の見直しにも注意!

もともとこの制度は、以下の4つのパターン(=類型)に分かれていました。

・A類型:生産性がアップする設備
・B類型:利益を高めるための設備
・C類型:投資の利益率に着目した設備
・D類型:経営資源を集中させる設備



今回の見直しで、C類型は廃止され、A類型・B類型も条件が変わりました。

去年まで使っていた企業も、「前と同じやり方でOK」とは限りませんので、内容をきちんと確認し直す必要があります。

今回の目玉は「賃上げに対する優遇」

今回の改正でもっとも注目すべき点は、「賃上げした企業に対して、より大きな減税がある」という点です。

たとえば、新しい建物を建てた場合、

・前の年より給料総額が2.5%以上アップすれば、→ 特別償却15% or 税額控除1%

・給料総額が5.0%以上アップすれば、→ 特別償却25% or 税額控除2%

これは単に設備投資を優遇するのではなく、「儲けを出して、その成果をしっかり分配した企業」を評価する仕組みです。

つまり、利益を上げただけではなく、その利益をちゃんと社員に還元した企業がより優遇される仕組みです。

これが「成果連動型の税制」と呼ばれるもので、
企業にとっては「投資+賃上げ」を同時に進めるモチベーションになります。

実務ではどんな点に注意すべき?

この制度をうまく使うためには、いくつかのステップがあります。

・該当設備について、まずメーカーの営業担当に相談するのが分かりやすい

・工業会などに証明書の発行を依頼(これに数週間かかる場合あり)

・過去のデータをもとに、事業計画や賃上げ率の計算が必要

こういった手間や、手続きが煩雑で、経理担当の負担はかなり大きく、
おもわず「面倒くさい!」と投げ出したくなるかもしれません。

「なんとなく思いついて今年中にやろう」では間に合わないことが多く、
来期の適用を見すえて早めに準備することがとても大切です。

また、賃上げについても「いったん上げたけど、景気が悪くなったので下げる」ということは簡単ではありません。
従業員のモチベーションや法律上の対応にも注意が必要です。

【手続きの全体フロー・A類型】

国が応援する「100億企業」ってなに?

2025年、経済産業省は「100億円企業をもっと増やそう!」という新たな方針を打ち出しました。
背景には、「100億企業」こそが日本経済の救世主になる、という強い期待があります。

これを「100億宣言」と呼んでいます。
対象は、年商10億円〜90億円の中小企業。

挑戦と創意工夫によって100億円を突破するまでのロードマップを描き、その歩みを政府が全力で応援するという狙いです。

従来の「中小企業=守られる存在」というイメージから、
「中小企業=成長の主役」と位置づける方向に大きく舵を切ったといえるでしょう。

さらに条件を満たす企業には、「中小企業成長加速化補助金」があり、最大5億円の補助金を受けられます。

税制の優遇と補助金を合わせて使えば、資金面の負担がグッと軽くなります。

【まとめ】設備投資+賃上げ+成長戦略がカギ!

中小企業がこれから成長していくためには、

・設備投資で生産性を上げる

・利益を社員に還元して会社の魅力を高める

・将来に向けてしっかりとした成長プランを立てる

という3つの動きがとても大切です。

今回の税制改正は、そうした「前向きな会社」を後押しするもの。
制度は追い風にすぎません。うまく使って、自社の未来を描いていきましょう!