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2023.06.13

「オープンイノベーション」について経理担当者が知っておくべきこと

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業界動向

「オープンイノベーション」について経理担当者が知っておくべきこと

令和5年の税制改正大綱に「オープンイノベーション促進税制の拡充」が組み込まれました。

適用できる会社が限られるため、この内容に興味を持つ人はあまり多くはないかもしれません。

しかし、この背景を知っておくと経済の流れが見えてきて面白いです。

今回はオープンイノベーションと促進税制について触れながら、
経理として、ビジネスパーソンとしてどう取り組むべきかを考えていきたいと思います。






●オープンイノベーションとは?

かつて、
日本企業は「クローズドイノベーション」という自社の技術やノウハウでビジネスを行う手法を取り入れていましたが、
これだけでは市場競争に勝てないという問題点がありました。

そこで注目されたのが、
外部の技術やノウハウを取り入れて新しいものを作る「オープンイノベーション」です。

iPhoneの「Siri」もそんなオープンイノベーションの成果のひとつ。

実は、Siriは外部の開発者が作った音声認識技術を活用した機能で、オープンイノベーションを取り入れていなければ実現しなかったかもしれません。

このように、オープンイノベーションは、企業の垣根を超えて新たなイノベーションを実現できる、画期的な手法なのです。

●オープンイノベーション促進税制

「オープンイノベーション促進税制」とは、
企業が外部から技術や知識を取り入れて、新しい物を作る際に税金を節約できる制度のことです。

出資や株主からの取得で、投資金額の25%を所得控除できます。

仮に10億円出資した場合は2.5億円が損金として控除され、税金が安くなります。

改正後は、所得価値の上限が最大200億円まで引き上げられ、株主からの取得でも適用可能に。

さらに、改正後、大企業はスタートアップのM&Aがより容易になり、
革新的な技術やビジネスモデルを取り入れやすくなりました。

●オープンイノベーションでの経理の役割

オープンイノベーション促進税制は従来以上の商流を生みだします。
この状況を踏まえた上で、経理は次のような対応が求められています。

・税務や会計リスクへの対応
・パートナー企業への正確な請求・支払処理

パートナー企業とのコラボが増えると、経理の視点から適切ではない取引が生じる恐れがあります。

経理はその都度パートナー企業との契約を確認し、適切なリスク管理や請求、支払い処理を行う必要があります。

●オープンイノベーションにおける働き方の変化

オープンイノベーションを取り入れると、仕事も次のように変化をしていきます。

①働き方の選択肢が増える
場所や時間にとらわれない働き方の工夫が求められるでしょう。

具体的には、リモートワークやフレックスタイムの採用が増え、
プロジェクト完了後に新たなプロジェクトに参加する、といった働き方が一般的になるかもしれません。


②スキルの向上が求められる
今後は、より他分野の知識やスキルを身につける必要があります。
また、異なる知識や文化を持つ人々と協力する機会も増えるため、コミュニケーション力が求められるでしょう。


③コラボレーションが重視される
より良い商品・サービスを生み出すには、外部の知識や技術を活用することも重要です。
そのため、コラボレーションは今後より重視されるでしょう。



「オープンイノベーション促進税制」は、
政府が新しい技術やアイデアを支援するための税金制度です。

税金に関することとしてだけではなく、社会のトレンドをつかむためにも知っておくとよいでしょう。