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2024.11.25

中堅・中小企業の M&A促進税制について

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中堅・中小企業の M&A促進税制について

中小企業は、大手企業との競争や人手不足など、多くの課題を抱えています。
しかし、他の会社と一緒になり、お互いの強みを活かすことで、
コストを削減し、新しい商品やサービスを生み出すことができます。

このような取り組みを支援するために、政府は税制優遇措置を用意しています。
M&A(企業の合併・買収) を上手に活用することで、
会社は成長し、地域経済も活性化することが期待されています。

●M&A促進税制のメリットとは?

M&A促進税制は、「中小企業の経営資源を集約するための税制」で、
成長を目指す企業が「経営力向上計画」に基づいてM&Aを行う際に利用できます。

主な支援内容は「設備投資に対する減税」と「準備金の積立に対する減税」です。

たとえば、M&Aや設備投資に1億円を投じた場合、この税制を利用することで、
通常は経費として認められない金額が損金として扱われ、税額控除を受けられます。
その結果、1,000万~3,000万円の節税効果が期待できます。

●設備投資に対する減税(中小企業経営強化税制)

青色申告をしている中小企業が、令和7年3月31日までに政府認定の「経営力向上計画」に基づいて
M&Aを行い、その効果を高めるために新しい設備を購入し指定事業で使用する場合、
以下の2つの税制優遇のいずれかを選べます。

1. 設備の全額を一度に経費として計上
2. 購入費用の10%を税額控除(資本金3,000万円超~1億円以下の企業は7%)

対象となる設備には、以下のように具体的な条件や例があります。

●準備金の積立(中小企業事業再編投資損失準備金)

中小企業事業再編投資損失準備金は、中小企業が事業承継や経営再編を進める際に、
株式取得や事業承継に関する投資の損失に備えるための準備金を積み立てられる仕組みです。
M&Aにかかる費用(株式取得価額や手数料)の70%までを損金として計上でき、
経営リスクを軽減しながら事業再編を進められます。

さらに、2024年の税制改正により、複数回M&Aを行う企業にはより有利な措置が適用され、
2回目では積立率が90%、3回目以降は100%となる制度が導入されました。
また、準備金の据置期間が10年間に延長され、長期的な経営計画が立てやすくなっています。

<申請手続きの流れ>

この税制優遇を受けるには、以下の手順に従う必要があります。
事前確認が必要なため、決算後の手続きでは間に合わない場合があり、注意が必要です。
以下の手順を守ることで、減税のメリットを最大限に活用できます。



1. 設備投資の事前確認
設備投資が税制の要件を満たしているか、経済産業省に確認します。

2. M&Aの計画作成
M&A相手が決まったら「経営力向上計画」を作成し、
株式取得や事業承継に関する内容を記載して主務大臣の認定を受けます。

3. 株式取得と報告
認定計画に基づいて株式を取得し、その結果や事業承継内容を主務大臣に報告し、確認書を受け取ります。

4. 税務申告
要件を満たした場合、準備金積立額を損金として税務申告し、申請書、認定書、確認書を添付します。

M&A促進税制は、税金面での負担を軽減しながら、中小企業が積極的に事業拡大を進めるための制度。
使い方次第で事業の未来が広がります!