国が応援する「利益につながる投資」とは?(ROI15%の話)
今回新しく始まった「特定生産性向上設備等投資促進税制」は、
幅広い業種が対象となる強力な制度です。
中小企業なら5億円以上、大企業なら35億円以上の投資を行うと、
取得した設備をその年に全額経費にできる「即時償却」か、
税金を直接減らせる「税額控除」を選ぶことができます。
この制度で特に注目したいのが、
「年平均ROI(投資利益率)15%以上」 という高い条件です。
なぜ国は、ここまで高いハードルを設定したのでしょうか。
その背景には、「ただの設備更新ではなく、
本当に利益を生み出す投資を応援したい」 という国の強い考えがあります。
つまり、現状維持のための投資ではなく、
会社の“稼ぐ力”を大きく高める投資に支援を集中したいということです。
そのため経理担当者にも、「この投資は本当に利益につながるのか?」
という視点で、現場や経営陣と一緒に成長計画を考える役割が求められています。

『出典元:令和8年度経済産業関係税制改正について(P.3) 』
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2026/pdf/03.pdf
海外より国内重視へ。R&D税制に込められた国のメッセージ
研究開発(R&D)税制の改正にも、国の方針がはっきり表れています。
今回新たに、AIや半導体などの重要分野向けに「戦略技術領域型」が創設され、
・最大40〜50%の税額控除
を受けられるようになりました。
一方で、海外への研究委託費については、
今後段階的に控除対象が縮小され、最終的には国内分の50%までに制限されます。
これは、「日本国内に技術や人材を残したい」という国の強い危機感の表れです。
つまり、単に「海外の方が安いから」という理由で外注するのではなく、
国内で研究開発を行い、日本に技術やノウハウを残す企業を優遇する方向へ変わっているのです。
経理担当者としても、目先のコストだけではなく、
「国内で研究開発を行う方が、結果的に会社にお金を残せる」
という視点を経営陣へ伝えていくことが重要になります。
「40万円未満」の設備投資がさらに使いやすく
中小企業にとって、最も身近で嬉しい改正のひとつが、少額減価償却資産の特例です。
これまで「30万円未満」だった即時償却の対象が、
今回の改正で「40万円未満」へ引き上げられ、さらに3年間延長されました。
年間300万円までという上限は変わりませんが、現場ではかなり使いやすくなります。
最近は物価上昇の影響で、パソコンや専門機材などが以前より高くなっています。
これまでは30万円以内だったものが少し超えてしまい、
面倒な減価償却が必要になるケースも増えていました。
今回の改正には、
「中小企業がためらわず設備投資できるようにしたい」 という国の配慮も感じられます。
経理担当者にとっても、
・固定資産台帳への登録
・毎年の減価償却計算
といった手間を減らせるうえ、購入した年に全額経費にできるため手元の現金も残しやすくなります。
ただし、従業員数400人超の法人は対象外となるため、
自社が利用できるか確認し、この制度を上手に活用することが大切です。

『出典元:令和8年度経済産業関係税制改正について(P.29) 』
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2026/pdf/03.pdf
税制と補助金を組み合わせて「2030年の成長企業」を目指す
今回の大きな税制改正の背景には、「強い経済をつくる」という国の大きな目標があります。
投資促進税制や研究開発支援を見ると、
国は明確に「挑戦する企業を応援したい」と考えていることが分かります。
逆に言えば、現状維持のまま投資を控える企業は、今後の競争で不利になる可能性もあります。
だからこそ、税制だけでなく補助金も組み合わせながら、
「できるだけお金を減らさずに成長投資を行う」という考え方が重要になります。
経理担当者が制度を理解し、
「この制度を使えば、もっと有利に投資できますよ」
と経営陣へ提案できれば、会社は大きく変わります。
これからの経理には単なる数字管理だけでなく、
「会社の成長を支える存在」としての役割が求められているのです。
まとめ|税制を味方につけて、会社の成長を加速させる
今回の税制改正は、国が用意した“成長への追い風”ともいえる内容です。
経理担当者が制度の背景や国の意図を理解し、
「賢いお金の使い方」を経営陣へ提案できれば、会社はより強く、豊かに成長していくはずです。