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2024.08.29

賃上げ税制の拡大と延長

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賃上げ税制の拡大と延長

昨今、スーパーやコンビニでの食料品、電気・ガス料金、宅配便など、
あらゆる商品・サービスが値上がりしています。

これに伴い、従業員の生活水準を維持するためには、給与の引き上げが必要となります。
その際の節税として企業が活用できるのが、賃上げ税制です。
2024年の税制改正では、制度が継続・改変されています。

●賃上げ税制とは

賃上げ税制は、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の一環として位置づけられており、
この政策は「成長戦略」と「分配戦略」の二つに分けられます。



賃上げ税制は分配戦略の一部であり、企業が従業員の給与を増やした金額に応じて、法人税の控除を受ける仕組みです。

この税制は、かつて「人材確保等促進税制」や「所得拡大促進税制」として知られており、
時代の変化に合わせて改良されてきました。
企業にとっては、賃上げによるコスト増加に対応するため、業務の効率化や従業員教育も重要であり、
教育訓練費を増額した場合にも節税の対象となります。

● 中小企業の税制改正

従来の賃上げ税制では、赤字の中小企業が税制の適用を受けにくい状況がありました。
これに対して、現行の賃上げ促進税制では、賃上げを行った年度以降に業況が改善し、
利益が出た際に節税の恩恵を受けられるよう、適用期間が5年間繰り越せるように改正されました。

また、賃上げだけでなく、「子育てと仕事の両立支援」や「女性活躍の推進」に積極的な企業も
支援するための税制措置が加わり、働き方全般にプラスの効果をもたらす仕組みが整備されています。

● 中堅、大企業の税制改正

これまで大企業と一括りにされていた資本金1億円以上の企業のうち、
従業員数が2,000名以下の企業は「中堅企業」として新たに区分され、
より厚い節税インセンティブが提供されることになりました。



従業員数300〜2,000人規模の企業は、雇用創出において重要な役割を果たしており、今後の雇用拡大が期待されています。

また、中小企業向けの取り組みと同様に、「子育てと仕事の両立支援」や「女性活躍の推進」に取り組む中堅企業には、
控除額が上乗せされる新たな措置が導入されています。

● 賃上げ税制が及ぼす影響

賃上げを実施した場合、損金算入により約30%の節税が見込まれ、
さらに賃上げ額の45%が税額控除されることで、賃上げの75%が節税対象となります。
これにより、企業の実質負担は賃上げ分の25%に抑えられ、積極的な賃上げが後押しされます。

しかし、一度賃上げを実施すると賃金の引き下げは難しくなり、
売上に転嫁できない場合、企業の利益が圧迫されるリスクがあります。
過去数年のデータでは、中小企業のうち労務費の増加分を価格転嫁できた企業はわずか3.3%に留まっています。




特に収益に余裕のない中小企業では、人件費の上昇分をどのように価格に反映させるかが大きな課題となっており、
競争力を維持するためには戦略的な改善と適切な価格設定が求められています。

● まとめ

市場の圧力や賃上げ税制によって、賃上げへの機運は高まって行きます。

会社存続のための利益確保には、あら ゆる方法のチャレンジが求められるでしょう。