● 交際費の歴史的背景
戦後の復興期、人々は会社の接待費を使って豪遊していました。
しかしそれが不必要な出費を増加させ、企業の利益が減少し、税収も落ち込む原因となりました。
結果、交際費が規制され、損金に計上できなくなりました。
しかし規制が続くことで地域の飲食店が倒産する恐れがあるため、平成18年には特例措置が導入され、
一人当たり5,000円以下の飲食費は交際費から除外され、会議費として計上できるようになりました。
物価上昇により、5,000円以下の飲食が困難になったため、
2024年の税制改正で、会議費として認められる飲食費の上限が10,000円まで引き上げられました。
● 交際費の特例措置
交際費とは接待や贈答などの支出を指し、原則として損金にはなりませんが、
中小企業などには特例があります。
資本金1億円以下の中小企業は年間800万円まで、資本金100億円以下の企業は交際費の50%まで損金に計上できます。
● 実務上の注意点
税務調査では、交際費の飲食に関して「誰と行ったかを記録するように」と指導が入ります。
事業用経費かどうかをチェックするのが調査官の仕事です。
交際費の記録・管理は重要で、同席者や目的を明確に記録し、領収書には誰と何のために
食事をしたか裏書きすることが推奨されます。
さらに、交際費を下記のような表で管理することで、社内のムダ遣いを抑え、税務署からの心証も良くなるでしょう。
この税制改正は、企業において日常的に発生する経費に関する内容です。
経理担当者はこの新しい制度を理解し、従業員が適切に経費を処理できるよう慣習指導することが必要です。