① 先が読みにくい時代に必要な、新しい考え方
2026年、企業を取り巻く環境はこれまで以上に変化が大きくなっています。
金利の上昇、人手不足による人件費の増加、
原材料価格の変動など、利益に影響する要素が次々と出てきています。
こうした「VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)」と呼ばれる先が読みにくい時代では、
過去の実績をもとに「きっとこうなる」と一つの未来だけを想定する経営は難しくなっています。
計画通りに進まない場面も増え、想定外の出来事が起きると対応が遅れてしまうことがあります。
そこで今、経営や財務で注目されているのが「シナリオプランニング」です。
これは未来を正確に当てるための方法ではありません。
「通常のケース」を基本に「うまくいったケース」「厳しいケース」など、
複数の未来をあらかじめ考えて準備しておく考え方です。
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【ポイント】未来から逆算して今を考える
シナリオプランニングでは、「今の延長で未来を考える」のではなく、
「こうなりたい未来や起こり得る未来」から逆算して、今何を準備するかを考えます。
これをバックキャスティング思考と呼びます。
変化があっても対応しやすい計画づくりにつながります。
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例えば、
「借入金利が上がったら?」
「材料費がさらに高くなったら?」
こうしたケースも先に考えておけば、急な変化にも落ち着いて対応できます。
「もしも」に備えることは、お金を守るだけではありません。
変化をチャンスに変える“攻める経理”への第一歩です。
複数の選択肢を持つことで、経営判断にも自信が生まれます。
② 「もしも」を会社の数字に置き換える
ニュースで金利上昇や物価高の話を見ても、
「うちにはどれくらい影響するのか」が分からなければ行動につながりません。
大切なのは、世の中の変化を自社の売上・利益・資金繰りに置き換えて考えることです。
そこで役立つのが、固変分解(こへんぶんかい)という考え方です。
これは会社の費用を、
売上に応じて増減する変動費(材料費・外注費など)
売上に関係なく発生する固定費(人件費・家賃・支払利息など)
に分けて考える方法です。
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【ポイント】世の中の変化を「自社の数字」に変える
金利上昇や物価高をそのまま考えるのではなく、
「売上」「変動費」「固定費」に当てはめて計算すると、自社への影響が見えやすくなります。
不安を具体的な対策に変える考え方です。
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例えば、
人件費が5%上がったら(固定費の増加)利益はどう変わるか
材料費が10%上がったら(変動費の増加)売上はいくら必要か
こうした「もしも」を事前に計算しておけば、必要な売上やコスト対策が見えてきます。
さらに、その結果は資金繰り表にも反映しておくことが重要です。
「楽観」「標準」「悲観」の3パターンで資金の流れを確認しておけば、
たとえ売上減少と金利上昇が同時に起きても、
「いつまでに、いくら資金を準備すれば乗り切れるか」を事前に把握できます。
未来を正確に当てることはできなくても、複数の準備をしておくことはできます。
シナリオ財務は、不確実な時代を落ち着いて進むための“会社のお金の地図”なのです。
③ ピンチをチャンスに!変化を味方につける「攻めの経理」へ
ここまで、不確実な未来をいくつかの「シナリオ」として考え、
「もしも起きたら」を自社の数字に置き換えてきました。
ただ、金利上昇や人件費・物価の上昇が続くこれからの時代は、
シナリオを作って終わりでは十分ではありません。
大切なのは、そのシナリオを日々の経営判断に活かしていくことです。
まず必要なのは、「今、現実がどのシナリオに向かっているのか」を早めにつかむ仕組みです。
売上や利益などの決算数字は、起きた結果を確認するための数字です。
一方で、変化を先回りして動くためには、お客様の動きや受注状況、
仕入価格の変化など、未来の変化につながるサインを見ることが重要になります。
こうした早めに気づくための数字を「先行指標(早期指標)」と呼びます。
また、世の中の変化が自社の利益や資金繰りにどう影響するのか、
そのつながりを社内で共有しておくことも欠かせません。
経理や財務というと、「支出を抑えて会社のお金を守る役割」と思われがちです。
もちろんそれも大切です。
ですが、複数のシナリオを持ち、数字でシミュレーションできている会社は少し違います。
たとえば、
「最悪のケースでも、ここまでは資金が持つ」
というラインを事前に把握できていれば、
経営陣は不安だけで判断する必要がなくなります。
新しい事業への挑戦や、人材・設備への投資にも前向きに動きやすくなります。
変化を怖がって立ち止まるのではなく、数字を根拠に「ここだ」と思えるタイミングで動く。
これからの経理には、会社を守るだけでなく、成長を後押しする役割が求められています。
数字を武器に、ピンチをチャンスへ変えていく
──それが「攻めの経理」の考え方です。