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2026.06.02

先が読めない時代を乗り切る「シナリオ財務入門」|会社のお金を守り、成長につなげる考え方

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先が読めない時代を乗り切る「シナリオ財務入門」|会社のお金を守り、成長につなげる考え方

物価や金利、人件費の上昇が続く2026年。
これからの経営は、過去の数字だけを見て未来を予測するだけでは対応しづらくなっています。

大切なのは、「もし売上が下がったら」「もしコストが上がったら」といった変化を事前に数字で考えておくこと。

本コラムでは、会社のお金を守りながら成長につなげる
「シナリオ財務」の考え方を、初心者にもわかりやすく解説します。

① 先が読みにくい時代に必要な、新しい考え方

2026年、企業を取り巻く環境はこれまで以上に変化が大きくなっています。

金利の上昇、人手不足による人件費の増加、
原材料価格の変動など、利益に影響する要素が次々と出てきています。

こうした「VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)」と呼ばれる先が読みにくい時代では、
過去の実績をもとに「きっとこうなる」と一つの未来だけを想定する経営は難しくなっています。

計画通りに進まない場面も増え、想定外の出来事が起きると対応が遅れてしまうことがあります。

そこで今、経営や財務で注目されているのが「シナリオプランニング」です。
これは未来を正確に当てるための方法ではありません。

「通常のケース」を基本に「うまくいったケース」「厳しいケース」など、
複数の未来をあらかじめ考えて準備しておく考え方です。

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【ポイント】未来から逆算して今を考える

シナリオプランニングでは、「今の延長で未来を考える」のではなく、
「こうなりたい未来や起こり得る未来」から逆算して、今何を準備するかを考えます。

これをバックキャスティング思考と呼びます。

変化があっても対応しやすい計画づくりにつながります。

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例えば、

「借入金利が上がったら?」
「材料費がさらに高くなったら?」

こうしたケースも先に考えておけば、急な変化にも落ち着いて対応できます。

「もしも」に備えることは、お金を守るだけではありません。

変化をチャンスに変える“攻める経理”への第一歩です。

複数の選択肢を持つことで、経営判断にも自信が生まれます。

② 「もしも」を会社の数字に置き換える

ニュースで金利上昇や物価高の話を見ても、
「うちにはどれくらい影響するのか」が分からなければ行動につながりません。

大切なのは、世の中の変化を自社の売上・利益・資金繰りに置き換えて考えることです。

そこで役立つのが、固変分解(こへんぶんかい)という考え方です。

これは会社の費用を、

売上に応じて増減する変動費(材料費・外注費など)
売上に関係なく発生する固定費(人件費・家賃・支払利息など)

に分けて考える方法です。

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【ポイント】世の中の変化を「自社の数字」に変える

金利上昇や物価高をそのまま考えるのではなく、
「売上」「変動費」「固定費」に当てはめて計算すると、自社への影響が見えやすくなります。

不安を具体的な対策に変える考え方です。

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例えば、

人件費が5%上がったら(固定費の増加)利益はどう変わるか
材料費が10%上がったら(変動費の増加)売上はいくら必要か

こうした「もしも」を事前に計算しておけば、必要な売上やコスト対策が見えてきます。

さらに、その結果は資金繰り表にも反映しておくことが重要です。

「楽観」「標準」「悲観」の3パターンで資金の流れを確認しておけば、

たとえ売上減少と金利上昇が同時に起きても、
「いつまでに、いくら資金を準備すれば乗り切れるか」を事前に把握できます。

未来を正確に当てることはできなくても、複数の準備をしておくことはできます。

シナリオ財務は、不確実な時代を落ち着いて進むための“会社のお金の地図”なのです。

③ ピンチをチャンスに!変化を味方につける「攻めの経理」へ

ここまで、不確実な未来をいくつかの「シナリオ」として考え、
「もしも起きたら」を自社の数字に置き換えてきました。

ただ、金利上昇や人件費・物価の上昇が続くこれからの時代は、
シナリオを作って終わりでは十分ではありません。

大切なのは、そのシナリオを日々の経営判断に活かしていくことです。

まず必要なのは、「今、現実がどのシナリオに向かっているのか」を早めにつかむ仕組みです。

売上や利益などの決算数字は、起きた結果を確認するための数字です。

一方で、変化を先回りして動くためには、お客様の動きや受注状況、
仕入価格の変化など、未来の変化につながるサインを見ることが重要になります。

こうした早めに気づくための数字を「先行指標(早期指標)」と呼びます。

また、世の中の変化が自社の利益や資金繰りにどう影響するのか、
そのつながりを社内で共有しておくことも欠かせません。

経理や財務というと、「支出を抑えて会社のお金を守る役割」と思われがちです。

もちろんそれも大切です。

ですが、複数のシナリオを持ち、数字でシミュレーションできている会社は少し違います。

たとえば、

「最悪のケースでも、ここまでは資金が持つ」

というラインを事前に把握できていれば、
経営陣は不安だけで判断する必要がなくなります。

新しい事業への挑戦や、人材・設備への投資にも前向きに動きやすくなります。

変化を怖がって立ち止まるのではなく、数字を根拠に「ここだ」と思えるタイミングで動く。

これからの経理には、会社を守るだけでなく、成長を後押しする役割が求められています。

数字を武器に、ピンチをチャンスへ変えていく

──それが「攻めの経理」の考え方です。