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2024.11.25

経理が知りたい「財務知識」 〜会社の売買価格はどのように決まるのか?〜

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経理が知りたい「財務知識」 〜会社の売買価格はどのように決まるのか?〜

最近、学生起業家が事業を成功させ、
20代で大金を手にしたという話を耳にすることがあります。

学生の中には良い会社への就職ではなく、起業に夢を描く人々も増えてきました。

このような会社の売却価格はどのように決まるのでしょうか?
具体例をもとに、 そのプロセスを見ていきます。

●価格の決め方

会社の売買価格は、多くの要素が絡み合い、次のようなプロセスで決まります。

1. 企業価値評価
資産、負債、収益性、成長性を基に企業の価値を見積もります。
評価方法としては、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引く「DCF法」や、
類似企業の市場価値を参考にする「マーケットアプローチ」が一般的です。

2. 買い手と売り手の交渉
実際の価格は交渉で決定します。
売り手は自社のポテンシャルをアピールして高値を狙い、買い手は買収目的(シナジー効果や技術取得など)や
市場状況を考慮しながら価格を調整します。投資目的の場合、慎重な交渉になることが多いです。

3. 市場状況やタイミングも影響
売却価格は、これらの要素を総合的に判断した結果であり、市場の動向やタイミングも大きく関わります。

●具体的な算定方法

企業価値評価には主に以下の3つの方法があります。
それぞれの特徴を活かし、総合的に判断することで適正な売買価格が決まります。

1. DCF法(Discounted Cash Flow法)
将来のキャッシュフロー(FCF)を予測し、現在価値に割り引いて算出します。
成長が期待できる企業や安定したキャッシュフローを持つ企業に適した方法です。




2. マーケットアプローチ
同業他社の売買価格や市場取引価格を基に価値を見積もります。
他社の株価や取引価格を参考に、自社の売上や利益に当てはめることで市場での妥当性を確認します。




3. コストアプローチ
資産の再調達コストや簿価を基に算出します。
不動産や設備が多い企業に適しており、ブランド価値や無形資産が多い企業には不向きです。



これらの方法を組み合わせることで、成長性、市場の妥当性、資産価値を多角的に評価し、
適正な企業価値を算定することが重要です。

●どうやったら高く売れるのか

会社を高く売るには、以下のポイントを押さえることが重要です。

1. 会社の魅力を引き出す
・安定した収益基盤や将来の成長性を示す準備をする。
・財務状況を整理し、コスト管理を徹底して利益率を向上させる。

2. 売るタイミングを見極める
・市場や業界が好調なタイミングで売却する。
・複数の買い手候補を競合させて価格を引き上げる。

3. プロフェッショナルのサポートを活用する
・M&Aアドバイザーや投資銀行に相談して交渉力を高め、最適な買い手を見つける。

4. 事前準備を徹底する
・デューデリジェンス(企業調査)での問題発見を防ぐため、法務や税務のリスクを事前に解決しておく。

これらの準備を怠らず、会社の価値を最大限にアピールすることで、
より高い売却価格を実現できる可能性が高まります。